精密洗浄におけるフッ素洗浄のメリットとデメリットについてご説明します。
フッ素系洗浄のメリット
フッ素系洗浄の最大のメリットは安全性です。フッ素は不燃性で危険性が低い非危険物です。
そのため、「PRTR法」「消防法」「有機溶剤中毒予防規則」といった主な法令に該当することがなく、消防設備や専任者を用意する必要がありません。
また、「特別管理廃棄物規制」にも該当しないため、廃棄物の処理も容易です。
その他にも多くのメリットがあります。
まずは速乾であることです。水系洗浄に比べ、乾燥時間を大幅に短縮できます。
更に低温で乾燥できるため、樹脂系部品などの高温に耐性のない素材でも洗浄することが可能です。
洗浄能力の面でもフッ素洗浄は多くのメリットがあります。
フッ素洗浄は溶解力が弱く製品へのダメージが少なく、フッ素系混合溶剤を使用することにより油分の溶解力が高くなり、油汚れの洗浄に最適となります。
また、表面張力が小さく浸透性が良いため、隅々まで洗浄できます。
さらに、シミができることがないため、製品不良率が軽減します。
毒性がなく、環境にやさしいのもメリットの一つと言えるでしょう。
フッ素系洗浄剤は50~60度で沸騰するため、比熱、蒸発潜熱(気化熱)が低く、水系洗浄に比べ熱エネルギーを抑えられます。
また、蒸留再生が可能なので洗浄剤を再生リサイクルすることが可能です。
フッ素系洗浄のメリットまとめ
- 不燃性で毒性が低いため安全性が高く、主な法令に該当せず、扱いが容易
- 速乾のため、乾燥時間を大幅に短縮可能
- 低温で乾燥でき、樹脂系部品にも利用可能
- 溶解力が弱く、製品へのダメージが少ない
- フッ素系混合溶剤を使用すれば油分の溶解力が高い
- 浸透性が良く、隅々まで洗浄できる
- 比熱・蒸発潜熱が低く熱エネルギーを抑えられる
- 蒸留再生が可能なので洗浄剤を再生リサイクルできる
フッ素系洗浄のデメリット
フッ素系洗浄の一番のデメリットは、洗浄剤の価格が水系洗浄剤に比べ5~10倍と高価なことでしょう。
さらに、揮発性が高いため洗浄剤の消費が多く、頻繁に洗浄装置に補充する必要が生じます。
しかし、廃液より不純物を取り除いてフッ素を取り出す技術が進化しており、現在多くの装置に取り入れられ、洗浄剤は高回収・再生できるようになっています。
※当社では、フッ素洗浄剤の消費を最小限に抑える独自のリサイクルシステム(ガス回収装置、廃液回収装置等)を開発しています。
また、フッ素は有機物の洗浄には強いのですが、無機物汚れの洗浄には弱いのもデメリットの一つです。
フッ素系洗浄剤1液だけでは落ちにくい汚れについては2液で洗浄するコ・ソルベントシステムを利用すると良いでしょう。
※当社はコ・ソルベントシステムを開発した2液洗浄のパイオニアです。
フッ素系洗浄のデメリットまとめ
- 洗浄剤の価格が高価である
- 揮発性が高く洗浄剤の消費が多い※ただし技術の進化で高回収・再生可能
- 無機物の汚れに弱い